鉛筆1本で描く駒ヶ根
鉛筆という画材は、濃淡表現に向いていて、これほど繊細に明暗を
区別して表せる画材はないように思う。
ふつう絵の具を使う場合では、それぞれの濃さの絵の具をパレット等で
ひとつひとつ調合しなければならないけれど、鉛筆ならばたった一本で
筆圧や繰り返しを変化させることで、その濃淡が表現できてしまう。
だから野外で描く場合、道具立てがとてもスッキリと少ない。
スケッチブックを片手に、立ったままで描いてしまうことも可能だ。
若い頃、東北の陸中海岸の海岸沿いにヒッチハイク旅行をしたことが
あった。リュックにはスケッチブックと鉛筆だけしのばせた。
その巡った港や海岸に近い町は、2011年3月11日の大震災により
津波被害を蒙り、描いたほとんどの町は流されてしまったようである。
石に座ってスケッチをしていると子どもたちが寄ってきて、覗き込んでいた。
無事ならばいまころは、50代の年配になっているのだろう。
画像は、駒ヶ根の中沢の原地区のいちばん高台の場所から、
駒ヶ根市を振り返ったアングルになる。
この鉛筆画の左にある小屋の趣を、より接近して描いてみたのが
下の鉛筆画。
誰も訪れないけれど、素敵な風景が駒ヶ根にはたくさんある。
まだ目覚めていない名所なのだと思う。